ゲストさんに聞いてみた(26) 『FUJITAKE WORKS』

2018年5月14日(月)

今回は、組合員の横須賀さん(YUZURIHA)と森(Flowers & Plants PETAL.)で、あきる野市にあるFUJITAKE WORKSさんに行って藤武秀幸さんにお話を伺ってきました。

藤武さんはいす張り1級技能士の資格をお持ちです。

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どうしていす張りというお仕事を専門にされているのでしょうか?
みなさんはいすを張り替えたことありますか?張り替えたいいすありますか?
色々聞いてみました。

藤武さん(以下敬称略)「最初木工の訓練校にいたんですけど、手作業はすごく好きだったんですが刃物を使う機械作業が苦手で。怖くてですね。その時にいす張りの募集が出てて、そこで働き始めて。」

横須賀「その訓練校に行くのも選択肢があるじゃないですか?やはりもともと手作業をしたいというのがあったんですか?」

藤武「高校生くらいの時から、なんか作りたいというのがあったんですよね。でもその時は漠然としてたんですが、そういう学校があることを教えてもらいました。木工の訓練校を卒業後、20歳からいす張りの会社で働きながら学びました。手加工が多いいす張りの仕事が楽しく、どんどん夢中になりました。3社の工房、家具メーカーで働いたあとに独立し、気づけば20年くらいいす張りの仕事に携わっています。」

横須賀「*1)コトブキにいたんですよね。」
*1)コトブキ=株式会社コトブキ。 いすをはじめとした家具製造メーカー

藤武「そうそう、コトブキには11年くらいいましたね。メーカーなんですけど。」 

横須賀「電車に乗ってると見えますよね。」

藤武「浜松町ですかね?神田に本社があるんですけど、昔武蔵境に工場があったんですよ。」

横須賀「武蔵境に!!知りませんでした。柳宗理のデザインした製品(注*2)もいっぱい作ってますよね。」
*2)柳宗理(1915ー2011)は日本を代表するプロダクトデザイナーでありパイオニア。戦後日本のプロダクトデザインを発展確立させた一人であると言われています。バタフライスツールやステンレスの鍋やヤカン、カトラリーなどのキッチンシリーズなど数々の名作を遺しました。藤武さんが勤めていた「株式会社コトブキ」の製品(FRPを使ったいす)のデザインも手がけ、国立競技場の座席など公共施設の設備にも数多く関わりました。名作と言われる「エレファントスツール」を最初に作り製品化したのもコトブキです。藤武さんは在職中、柳宗理がデザインしたいすの座張りや張り替えの仕事もされていたそうです。

藤武「コトブキはホールとか公共施設関係の仕事が多かったですね。その量産になる前の試作とか見本を型紙から作ったりという仕事をしていました。」

横須賀「映画館やホールの座席がどうやってできているのか、普段何も考えずに座ってるよね、私たち。」

藤武「そうですね、平面から立体ができていくのが面白いですね。ミシンで縫っていくんですけど、同じ型紙でも作る人で微妙に違ったりとか。そこが面白い。」
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↑ミシンは3台を使い分けられています。

「そういう大きい会社で、ご自分が試作したものが大量にできていくのと、個人で始められて今のお仕事の違いはどういうところですか?」

藤武「やっぱり人と会って、生地を選ぶところから相談して、提案もできますし、そうやってできていく楽しさですかね。」

いす一脚を作るのには家具職人さんが作ったフレームがあって、その上に座面を張るという工程で出来上がります。

「そうすると木工さんとの相性というか、通じてないとうまく仕上がらなかったりとかするんですか。」

藤武「そうですね。そういうところあるかもしれないですね。その人によって仕上がりが全然違いますから。」

「私たちが実際にいすの座張りをやってくれる所を探すのは難しそうですよね?」

藤武「意外とタウンページとかに載ってるんですよ。いす張替えとか、内装とかって。座張りって内装に入るんです。今でもカーテンも作るところあると思いますよ。」

「そうなんですね!」

藤武「インテリアの一部として、木工よりだったり、内装よりだったり。僕はもういす張りだけですけど。」

横須賀「(日本)民藝館のいすは柳宗理モデルでコトブキ製だけど、ああいうのは工場で作るの?」

藤武「ああ、あの黒いやつ!あれは数がそんなにないので僕が張ってました。」

横須賀「あのいす重いのよね。(苦笑)」
藤武「コトブキのいすは丈夫に作っているので、重いものが多いです。」

藤武「これです、これちょっと汚れてるんですけど。」
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横須賀「そんな大きな会社から独立するのは勇気がいりませんでしたか?」

藤武「そうですね。家族もいますし、場所を探すのだけでもけっこうかかりました。すごい山奥に連れていかれたりとか。(笑)」

「もし藤武さんにいすを張り替えてもらいたいときはどういうふうにすればいいんですか?」

藤武「写真を送ってもらって、見積もりを取っていく感じですね。外国製のいすは難しいところがありますね。外国製なのでねじの形状が違ったりとか、結構構造が特殊なので、イームズシェルチェアの張替えはやっていないんです。」

「実はですね、私も一脚持ってきてみたんですけど、後でみてもらえますか?」

横須賀「じゃあ今持ってきて見えもらえば?相談して、どういうふうにお話が進むのか聞いてみたいな。」

「それこそ座面がこすれて破れてしまって、中から藁が出てきちゃってるんです。」

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横須賀「ほんとだ、(笑)藁ってことは古い物ってことなのかな?」

藤武「ウレタンができる前だから、う~ん50年くらい前なのかな?」

横須賀「いすって案外シンプルなつくりなんですね。それをいかに美しく仕上げるかっていうところなんですね。」

藤武「そうですそうです、はさみの入れ方とか難しかったり。」

「このいすは本当に長く愛用していて、どこの(ブランドの)とかないんですけど。座り心地が私に合っていてすごく気に入ってて。いつか、どこかで張り替えてもらおうと思っていて、そのまま使い続けていたやつなんです。中身が藁なんですけど大丈夫ですか?(笑)」

藤武1級技能士の試験の時、藁とスプリングで厚い座面を作るというのがあるんです。5時間で仕上げなくちゃいてなくて、時間がないのでみんな必死で作るんです。今はなかなかない構造ですが、森さんがこの座面の硬さを気に入っているんなら、藁の構造のままでも直せます。木部がしっかりしてるからそのまま使えると思います。新品になりますよ。」

「うれしい!」(ハイジの干し草のベットと同じ仕様じゃないか!と心の中で思ってました。(笑))

*この後どの生地を使うかなど選ばせていただいて、後日お渡しいただくことになりました。
私がこの記事を書いている間にそのいすがもう出来上がりました(私が書くのが遅くて藤武さんの仕事が早い!)ので、後ほどこのページ後方でご紹介いたしますね。


横須賀「そういえば、この前面白いいすの納めがあるっておっしゃってましたね。」

藤武「そうなんです、もうここにはないんですけど、写真があって。」

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藤武「テキスタイルの会社ので、これですね。(写真を見せてくれる)形もかわいくて。色が全部違うんです。12脚あって、全部違う色で。」
↓いすのための生地はデンマークのもの。色も織もとてもいいですね。
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「うわ~、かわいいですね!」

横須賀「やっぱりいろんなお仕事があるんですね。」

藤武「そうですね、いすは世の中にいっぱいありますしね。」
そういって笑う藤武さん。

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藤武「D&D(D&DEPARTMENT TOKYO)で年に4回いすの張り替えの相談会をやってるんですけど、若い方がおばあちゃんから譲り受けたいすを直したいと来られたり。」

横須賀「そういうの、いいですよね。いろんないすとの出会いとかもありそうですね。」

「はけ市も、まさにこれからは気に入ったものを大切に使った後、まだ直せるもの直して使って直すとますます愛着がわいて大切にしていける、という愛着のループが続いていくのがいいねとみんなで話してるんです。」

藤武「ああ、いいですね!今回のワークショップも一回やってみると、中がどうなってるのかわかっていいと思います。」

「ワークショップに参加される皆さんは、貴重な体験ができますね。」

「このお仕事をされていて、特にこだわってるところありますか?」

藤武「ないですね。(笑)」(即答!)

「みなさんそうおっしゃるんですけど、ほんとうはそうじゃないっていうのが最近だんだんわかってきました(笑)」

藤武「あ!ありました。無理をしないことです。」

「なんとなくわかる気がします。結果を背負ってるですもんね、納期や予算,イメージがすりあってないのに無理をしても結果良いものができなかったりということですか。」

藤武「そうなんですよね。そういうことも独立したからこそできることかもしれませんが。」

「ところで藤武さん、作業中はラジオ派ですか?」

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藤武「ラジオ派ですね!TBSは聞きこんじゃうんで違うところのを聞いてますね(笑)」

「あ、それとあそこに将棋盤とかありますね。」

藤武「あれは、たまに父親が来るので、ここでさしたりとか」

「いいですね!」

穏やかで自然体、優しい雰囲気の藤武さん。今までしてこられたたくさんのお仕事に裏打ちされた技術と経験で、真摯にそれでいて楽しみをもって作業されてるのを見せていただきました。

森が持ち込んだいす、どうなったでしょうか?
藤武さんが工程順に写真を撮って送ってくださったのでご紹介します。

↓先ほども登場した傷んだいす。
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藁をはがしてお掃除。長年たまったすごい量のホコリです!↓
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a0123451_15094931.jpg藁は再生できるものを分別。
粉々の物は取り除きます。
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掃除した藁を詰めなおし、減った分は下にクッション材を追加

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綿生地で下張り
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下張り後、綿を詰めて生地を張り込み


テープは接着剤で固定














完成です!!
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ぼろぼろだったいすが木部の経年変化はそのままに、見事よみがえりました!!

6月3日のはけ市に現物を置きますので、藤武さんが張りなおしてくれたいすをぜひご覧ください。



当日はFUJITAKE WORKSさんは、いす張のワークショップをしていただきます。ワークショップ以外の空き時間で、いすの張り替えのご相談を受け付けてくださいます。ワークショップの詳細はまた別に改めてお知らせいたします。


6月のはけ市、みなさまお楽しみに!


6月3日(日) はけのおいしい朝市 10:00~15:00

会場:丸田ストアー 〒184-0013 東京都小金井市前原町5-8-3


FUJITAKE WORKS (藤武 秀幸さん): http://tetoteworks.com/

お話を聞いた人:横須賀雪枝さんYUZURIHA)・森(Flowers& Plants PETAL.

写真 :藤武さん・雪枝さん・森

場所 :FUJITAKE WORKS  東京都あきる野市小川777-3 矢崎工場



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by hake-ichi | 2018-05-26 16:20 | ゲストさんに聞いてみた | Comments(0)


  


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【日程】
10月7日(日)
【会場】
小金井神社
(武蔵小金井駅南口から徒歩10分)

時間▶午前9時〜午後4時

*年に一度の小金井神社開催です!

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